不妊は世界共通の課題

①「産みないのにう産めない〜卵子の老化の衝撃
② 体外受精 不妊治療
③ 卵子の老化
④ 不妊の原因の半分近くは男性にある

不妊は今世界共通の課題となっています。

WHO 不妊に悩む夫婦は 世界で1億8600万組になると推計

不妊は当事者だけでなく、社会的にも経済的にも重大な影響を及ぼす悲劇だとしています。

日本の状況の深刻さは世界の中で際立っています。

体外受精を行う女性の内、40歳を超えた患者の割合は30%

他の先進国の2倍〜4倍になっています。

不妊の問題にどう取り組むのか?

国を挙げて取り組んできたのがフランスです。

人々の間では卵子が老化していくことは広く知られています。

フランス人女性
卵子は35歳から老化し始めるんだと思うわ」

「20代半ばから妊娠の可能性は低くなっていくの
30代は20代より妊娠の可能性はずっと低いのよ」

年齢と共に妊娠しずらくなることを
国は教科書やパンフレットを通して若者に知らせています。

この問題の関心は高く
新聞や雑誌でも繰り返し取り上げられてきました。

不妊治療を支える制度も日本とは大きく異なっています。

不妊治療に年齢制限が設けられているのです。

フランスでは体外受精などに全額保険が適用されますが、
年齢制限があります。対象となるのは42歳までです。

年齢制限がなく費用の一部しか適用されまない日本とは対照的です。

時期を限って手厚くサポートすることで
出来るだけ早く不妊と向き合うことを促しているのです。


「フランスではよくこう言われています。
“すべてのことには適した時がある。”
国は子供を産むのを40歳ころではなく30歳ごろにしてほしいのです。
それに年齢が上がるほど不妊治療の体への負担が高くなりますからね」

更にもう一つ、不妊治療を受けるのに欠かせない条件があります。

男女揃って治療に臨むことです。

病院にはそれぞれの診療科が設けられています。

二人が不妊の原因を一緒に調べなければ保険は適用されません。

治療の為仕事を休む場合、会社に申請すれば男女とも認められる制度もあります。

フランス人男性
「治療の時男性が来るのは当然さ」

卵子が老化する前に、妊娠・出産出来るよう
社会全体で支える仕組みが整っているのです。


各国が対策を行う中、日本は特に遅れていると指摘する研究者がいます。

イギリス カーディフ大学
ジャッキー・ボイバン教授

2年前 世界18カ国で妊娠に関する意識調査を行いました。

日本は卵子の老化に関する知識が最低レベル
家族や友人と不妊について話す割合は最下位でした。

夫婦間でも滅多に話さないとう人がほとんどでした。

ボイバン教授は、不妊の問題をこれ以上深刻化させないために

社会全体で向き合うべきだと警告しています。

ボイバン教授
「日本の人たちは不妊についての正しい知識がないために
出産の時期が遅れ 結果的に子供を持てなくなってしまっています。
フランスの制度をそのまま日本に取り入れればよいというのではありません。
不妊の問題をタブーにせず 日本に最もふさわしいやり方は何か
社会も個人も議論を始めることが大切です。」

つづき→ 産みたいのに産めない苦しみ